前の話（第1話）

古い家庭から解放される

実は、広告について私が話していることがすべてのように見えるかもしれないという不安が大きい。実際にはそうではないので。非常に多様な目的と意味に基づいて制作されており、個人的にはその中でも「価値」に焦点を当てた選択をしただけだ。そして、このような選択には、以前の社会解説番組のPDとしての経験が中心にある。

当時、私はさまざまな状況に置かれた人々を取材する中で、彼らの現実がメディアで圧縮的に表現されているキーワードや記事の内容とは大きく異なる点に頻繁に出くわした。組織暴力団出身の住職同士の陰謀と暴力事件、海南最南端の村の役人の生活保護受給者の生活費を着服したハリデビッドソンバイク購入、インターポールが指名手配した児童性犯罪者の国内小学校のネイティブ教師の5年間の足取りなど。

上記の例が単に刺激的な素材に見えるかもしれないが、少なくとも私たちが日常的に経験し、交流している対象でもあるという点でいくつか挙げてみた。

人々の現実は多様で矛盾しており、何よりも外から見えるものとは違っていた。

このように簡単に整理して表現できないそれぞれの姿が一つになって社会現象につながり、それをメディアが断片的にでも簡単な言葉と表現で伝える。そして人々はこうした記事を通して世の中に対する認識を持ち、それが再び評価と主張の基盤となる。

振り返れば、私は広告制作の際、こうした断片的な情報に基づいて顧客の世の中を認識していた。 ここにさらに奇抜なアイデアへの執着で、顧客が興味を持つだろうと考えたアイデアに基づいて、長年忠実に成果物を作ってきた。そして、この微妙にずれている、私が立っていた広告の世界では誰も質問しなかった点を突き止め、別の決断をした。

その後、私は再び人々の日常生活への関心と観察、そして彼らとの対話を主な調査対象とすることを決意した。顧客企業が信じている製品/サービスの価値が現実世界でどのように経験されているのかを知るために、潜在顧客の生活の瞬間に踏み込み、その中に存在する「文脈」を理解し、「価値判断」ができるデータを取得するプロセスを自分自身で作り出すことにした。

このように始まったReason of creativityという奇妙な名前を掲げ、私は2017年一年中、外資系や国内の広告会社の代表や役員を無差別的に探し回っていた。ほとんどが断られ、たまに遭遇する嘲笑を経験しながらも、一方で信じていたのかもしれない。「海外はちょっと違うだろう。海外の広告会社なら、こういう点は理解できるんじゃないか？」という期待。

そして、この日に広告賞で出会った他のクリエイティブディレクターとの会話を通して、以前の自分だけで始めようという決断が正しかったことを再確認できた。タイから来た友人は、このように人々の日常生活に関心を持つなら、「お前は政治家になったら大成功するよ。」というからかいのような冗談を私に投げかけた。

こうして私はまた一つ、自分だけの歩みを経験した。

P.S. 最後に、年間数十億ものマーケティング費用をかけていた以前の顧客企業のブランド担当者へのインタビューの概要を共有する。このブランドは当時、大手総合広告代理店と協力して、大規模な広告キャンペーン（テレビ広告およびデジタルコンテンツ制作・配信）を実施していた。

「広告自体はまあまあですね。ただ、課金できる対象、20代から30代がメイン顧客なんですが、なぜか10代だけがうちの広告に熱狂するんです…広告会社の社長がフェースブックの友達なんですけど、いい広告主のおかげで成功的なキャンペーンを実施できたって、うちのブランドの広告動画に関する投稿を見てるといつも…腹立ちます、正直に。お金はうちが払ったのに、売上には影響が少なく、達成感に対する祝杯は本人があげているから…」